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「エディット・ピアフ…その愛」 ブログトップ

「エディット・ピアフ その愛」-5 [「エディット・ピアフ…その愛」]

P1030925b-100.JPG ステージ構成台本
   
「エディット・ピアフ その愛」- 5

Edit.jpg

(前回からの続き)

                                                               



エディット
   「身の毛もよだつような私の半生。
            でもそれは、必ずしも汚(よご)れた人生ではありません。
            私は思い出します。貧困と逆境のさなかにあった少女時代、
            たった十フランのお金を得るために街角に立った夜のことを。
            私は一八でした。
            初めての男性プティ・ルイとの間に生まれたマルセルを病気で亡くし、
            埋葬する費用が十フラン足りなかったのです。

            『それっぽっちで人助けが出来るなんて、安いもんじゃないか。』
            私を拾ったその人は、十フランを握らせるとそのまま私を開放してくれたのです。
 
ホリゾントが再び空色に溶明する。
エディットの全身が柔らかい光の輪に包まれる。


エディット
   「見返りを期待せず、与えるだけの行為。
 
         もし、この男性が私を娼婦として扱っていたら、
 
            私は決して思いやりのある人間にはなれなかったでしょう。

 
            私は教えられ、実行しました。
 
           そして、無償の行為がどんなに純粋なよろこびをもたらすかを知りました。
 
           それが数え切れないほどの私の愛のかたちなのです。」


       「水に流して」 (私は後悔しない)





       
 
エディット
     「私の人生は奇跡の連続でした。
            私には恐れるものはなにもない。
            死すら私にとってはなじみの深いものなのですから…。」

その時、陰の声(女声)、厳かに聞こえる。

            〈この女は多くを愛したから、多くの罪は許される。〉

エディット
     「聖テレジア様。
            私は天に召されるその日まで、愛の歌を歌い続けるでしょう。
            貧困と富裕。真実と裏切。正常と狂気。殉教と背徳……。
 
          聖女と呼ばれるにはほど遠い生き方でしたが、
            今、私は胸を張って言える。

            私は決して後悔しない。
           人生を二度生きたのだから。」


躍動する光のエフェクト。
光の中で歌うエディット。


         愛の賛歌 





スポットの中に立つエディット。


---溶暗。

                                                                                                  〈幕〉


●Special Thanks
  全11曲の歌唱シーンでは、YOU Tubeにアップされているエディット・ピアフの
 ライブ映像と音源を使わせていただきました。
   hugoxgomezさん
    KeisEchoさん
  harusayuriさん
    MrMoonlightさん
  ondrejtisさん
  326appleさん
  ginninkingさん
  mofmediaさん
  dior1984さん
  5dddddismさん
    MajestyMy1さん
    cam6617さん
  FantasyChannelさん
 ありがとうございます。
こころから感謝申し上げます。
 


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「エディット・ピアフ その愛」-4 [「エディット・ピアフ…その愛」]

P1030925b-100.JPG    ステージ構成台本
    
「エディット・ピアフ その愛」- 4

Edit.jpg

(前回からの続き)

 

                                                         

突然、衝撃音とともに、一瞬深紅に染まるホリゾント。
複数のスポットがエディットを乱射する。


エディット
  「とうとうその日がやってきました。私の恐れていたその日が。
            最愛の男性、マルセル・セルダンの突然の死。
            ミドル・ウエイト級世界チャンピオンのあの頑強な肉体が、飛行機事故で 
   一瞬のうちに滅びるなんて、誰が予知できたでしょうか……。

            神様。あなたは私にたくさんのものを与えてくださいました。
            名声も財産も、私の未来も、命さえも。
            そのすべてお返ししますから、
            どうかマルセルを返して…。」


一筋のスポットがエディットに注がれる。
きっぱりと顔を上げるエディット。


エディット
  「今夜私は、自分自身のために歌います。
            マルセルに捧げた
            愛の真実を噛みしめるために……。」


       私の神様 





エディット
  「最愛の人を失ったショックによる自殺未遂。入院。
            麻薬中毒とアルコール中毒が並行する地獄のような日々。
            とうとう堕ちるところまで堕ちた私。
            発狂寸前の錯乱状態の中で、私は自分に問い掛けていました。

            エディット、あなたは一体だれ?
            ここにいるあなたは何者なの?

            暗い闇の世界。孤独との闘い。
            ステージの上の私は、生きたむくろでした。
            私のからだはきしみ、悲鳴を上げていました。

           それでも私は歌い続けました。
           『私から歌を取りあげないで。
            私にはもう、これしか残っていないんだから。』」


       群集 





エディット
  「みんなが寄ってたかって私のおぞましい履歴を暴こうとする。
            悪魔たちが私をまた暗い過去へ引き戻そうとしている。
            〈あんたに幸福になる資格があるっていうの?〉

            でも、安っぽい同情なんかいらない。同情には欺瞞がつきものだから。

            私は言ってやりたい。
            傷つきもせず、うわべだけの幸せにうつつを抜かしているような人間に、
            身を滅ぼすこともいとわない私の愛が分かってたまるかって……。
           
           
私は負けない。
            私には歌がある。
            その歌を待ち望んでいる観客がいる。」


       パダン・パダン 




                                                                (次回 完結)


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「エディット・ピアフ その愛」-3 [「エディット・ピアフ…その愛」]

P1030925b-100.JPG      ステージ構成台本
    
「エディット・ピアフ その愛」- 3

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(前回からの続き)

          

ホリゾントの色調が変化し、ニューヨークの賑やかな情景が映し出される。

(または「キャバレー/ル・ベルサイユ」「カーネギー・ホール」)

エディット
     「私にとって源(げん)がいいのは、CかMで始まる名前。

            私の成功を予言したモーリス・シュヴァリエ。

            街角で歌っていた私を見いだしてくれたルイ・ルプレ。

          私のレパートリーを一番たくさん作詩してくれたアンリ・コンテ。

            ジャン・コクトー。ミシェール・リヴゴーシュ。

            ジョルジュ・ムスタキ。シャルル・デュモン。

            それから私が見いだしたイヴ・モンタン。シャルル・アズナブール。
       フェリ
ックス・マルタン。エディ・コンスタンチーヌ……。

            私はこうした人たちと例外なく恋におちました。

            中には結婚しているひともいました。

            その彼に私は事もなげに言いました。
 

          『あなたは私を選んだのよ。だから奥さんを捨ててよ。

             でなかったら、私があなたを捨てるわ。』」

エディットに2ヵ所からスポットライトがあたる。

スポットはエディットの動きを追い、歌の情景に合わせて色彩が変化する。


      バラ色の人生 



エディット、歌い終わると、舞台溶暗。


                                               


舞台、ほのかに溶明。
上手寄りに祭壇を擬した台。台の背後にはろうそくを立てた燭台。
祭壇の前にひざまずいているエディット。
その姿を背後からのスポットが浮き彫りにする。

エディット、祭壇にかしずいて十字を切り、胸に下げたメダルに口づけをし、
深く頭を下げる。


エディット
     「聖テレジア様。私はいま、幸せでいっぱいです。
            愛する人がいて、こんなにたくさんの観客に愛されてステージに立てるなんて。
            幸せすぎて怖いのです。

            いつかこの幸せと同じくらいの不幸が私の人生に用意されているのでは…。   
 

 
   みんなは私を、多情でふしだらな女だと陰口をたたいています。
            真実の愛を探すことが、お互いを傷つけ合うことになることも知りました。
            私はただ、自分に正直なだけなのに……。

           
でも、それが神様の定めた運命というのなら、
            私は、不幸をあえて恐れはしません。
            自分で選んだ人生を、自分で生きているのですから。


立ち上がると正面からスポットが当たり、エディット、光の輪の中に浮かび上がる。
                                                      

                   

   (この曲のエディット・ピアフの動画は見つかりませんでした)

                                                                  (次回へ続く)


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「エディット・ピアフ その愛」-2 [「エディット・ピアフ…その愛」]

P1030925b-100.JPG     ステージ構成台本
    
「エディット・ピアフ その愛」- 2

Edit.jpg

(前回からの続き)


             
                                       

ホリゾントの写真が、パリのミュージックホール(「A・B・C」)に変わる。

(または、グラン・ブルヴァールの街頭風景) 


エディット
     「『モモーヌ、あんたも一度会ってみて。

              目よ。とにかく目がすてきなの。

              あんなに美しく澄んだ空色の目をしているのは彼だけよ。』

              と私は言う。

              私の愛した男たちはみんな、美しい空色の目をしていました。

            『また始まった。空色の目だったら、コレクションができるくらいなんだか         

    ら。』
 
            妹は笑って答える。

 
            言葉や動作は嘘をつくけど、まなざしは嘘をつけない。
 
            とにかく私は、空色の清い瞳に憧れていました。
 
            そして、空色の瞳が、私にしあわせと不幸をもたらしました。」

       回転木馬   





             


ホリゾントの色彩、明るい空色に変化すると、華やかなシャンゼリゼの写真が映し出される。(または「ムーラン・ルージュ」「エトワール」)

エディット
     「猥雑なピガール界隈の安キャバレーから、一挙に陽のあたるステージに。

            みにくいさなぎから美しい蝶に変身した私の気運は、留まるところを知らぬかのよ
      うでした。
            一晩のギャラが、三十万フラン。
            でもそれはすべて、跡形もなく消えていきました。
 
            私が求めているのは愛。お金じゃない。
 
            思い通りに生きることを邪魔されるくらいなら、死んだ方がまし。
 
            誰が私の愛を止められるっていうの!

            愛だけは変わらないもの。そう信じながら感じる破局の予感--。
            そして、恋するたびに愛の歌が生まれました。」



M3    アコーディオン弾き 

 

      哀れなジャン 





                                                            (以下、次回へ)


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「エディット・ピアフ…その愛」-1 [「エディット・ピアフ…その愛」]

P1030925b-100.JPG   ステージ構成台本
    「エディット・ピアフ その愛」-1

Stage Image.jpg                                                                  
                                                      このステージはイメージです。

これは、稀代のシャンソン歌手エディット・ピアフをモチーフにしたシャンソン・リサイタルのために書き下ろした構成台本です。
登場人物は一人。
ピアフの持ち歌であるシャンソンを歌う歌手が、ピアフ自身を演じます。
プロローグからエピローグまで7景の展開で、その中にピアフの代表曲11曲が挿入されています。
このブログでは、シャンソンを歌う部分はYOU Tubeから拝借したエディット・ピアフ自身の動画をあてはめさせていただきました。
ブログ上ということで1回完結とはいきませんので、5回連続でご覧頂けたら幸いです。



                                                               

開演のベル---。

舞台、暗転。

エディット・ピアフのレパートリーで陽気な曲(伴奏のみ)が流れてくる。

その曲にエディットのモノローグがだぶる。


エディット
  「(オフで…新しく出会った彼に語りかける感じで)

            あなたの好きな色は何?

            私はむらさき。黒も好き。目立たない色が好きなの。

            あなたの星座は? まあ、魚座ですって。だったら最高よ。

            私は射手座。だから魚座とは相性がいいの。

            デートの約束は木曜日よ、よくって。日曜日は絶対にいや。

            木曜日はついてる日。日曜日は不吉な日と決まっているの。

            そんなの、みんな迷信ですって?

            でも、私は信じてる。

            あなただって知ってるはずよ。二度や三度の恋物語で私がこんな結論を出し   

    たりはしないってことを。」



          
                                                    

ホリゾントに暗いブルーが入る。

(このホリゾントは、エディットが愛した男性の瞳のモチーフ。

  以後、第四景までは景が変わるごとに微妙にブルーの度合を変化させる。)

その背景に、パリはピガール界隈のスライド写真が投映される。

「ミロール」の伴奏、立ち上がる。

エディット登場。

スポットの中に浮かび上がるエディット。


エディット
  「エディット・ピアフ。

            ピアフとは、陽気にさえずるスズメのこと。

            そう、はじめは薄汚れたパリの下町の路上が私のステージでした。

            大道芸人の父。麻薬中毒で、その上腹違いの妹を生んだ身もちの悪い母。

            やくざや香具師(やし)、娼婦やひも、詐偽師や泥棒たち。

            こういった人種がたむろする掃き溜めのような環境の中で

            少女期に人生の裏側まで知り尽くしてしまった女。それが私。

            失うものなんて、始めから何もありゃしない。

            どん底のくらしの中で考えることは、とにかく何かを得ることだけ。

            私は真実の愛を求めて、たくさんの男性と恋をしました。」

 
M1    ミロール 

Edit.jpg エディット・ピアフ










                                                                 (次回へ続く)
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